ストレスや生き辛さの本質は、歪んだ思考パターンによるものでもあります。
否定的自動思考
人は、現実に起こった出来事についてどう捉えるのか・・・そのままの事実だけを捉えれば良いのに、偏った思い込みや過去の経験に関連づけて、宜しくない方向に無意識に持って行ってしまうことがあります。
このような思考の癖を否定的自動思考といい、カウンセリングをしている中で多々気付くことがあります。
認知の歪みとは?
主立ったパターンをいくつか載せます。
- 独断的推論・・・矛盾があるにも関わらず、それを無視して特定の結論へ一気に到達してしまうこと。~〇〇はそうなるに決まってる!
- 選択的な抽出・・・特定の情報のみ過大視して全体の情報把握が出来ないこと。~あの人は恋人をふったから冷酷に違いない!
- 過剰な一般化・・・ある出来事を基にして、不合理なほどに一般化してしてしまう。~これって全てがそうなんだ!
- 誇張および過小視・・・一つのことを過大評価したり、逆に極端に低く評価する。~仕事のミスを「自分はなんてダメなんだ」、上手くいったときは「これくらい誰でも出来る」と評価する。
- 自己関連づけ・・・わずかな情報から、そのことが自分と関係していると思い込む。~自分のせいなんだと、自分に悪いことを関連づける。
- 絶対的二分法思考・・・全てのことが白か黒かではっきりさせないと気が済まない。~今日は楽しいことが無かったので最悪の一日だった!
- 「ねばならない・べき」思考・・・自分や他人に対して厳格な理想を持ち、それが実現しないことを最悪視する。~1日5時間勉強すると決めたのに、出来ていない自分が許せない!
認知の歪みから抜け出すには?
認知の歪みを修正する方法として、認知行動療法による心理カウンセリングがあります。
全体像のアセスメント~状況を総合的に理解する・・・クライエントに起きている出来事や悩み・ストレスなどを傾聴しラポールを築き、状況をしっかりと把握することからです。
- 自動思考に焦点をあてる・・・自動思考がそうなる根拠や事実は何か?自動思考を信じることのメリット・デメリットは何か?
- 更にイメージとして・・・最悪の場合どうなると思うか、奇跡が起きたらどんな素晴らしいことになるか、現実にはどうなりそうか
- 経験から・・・以前このような体験をしたときどんな対応をしたか、他の人はどうしていたか、あるいはどうすると思うか
- これからに向けて・・・この状況に対してどんなことが出来そうか、友人・親しい人になら何と行ってあげたいか、自分自身に対してどんなことを行ってあげたいか
☆フィードバックすること・・・上記のように進める中で、カウンセラーは説明したつもりでもクライエントには理解出来ていない場合もあります。なので理解度を確認するためにもフィードバックすることが大切です。
☆行動すること・・・認知行動療法では、実際に行動することが重要です。クライエントとの会話の中で行動に関係した話題を取り上げて行動することを勧めていきます。行動することにより喜びや充実感を体験して、気持ちの変化をもたらします。その為には、活動スケジュールを作成したり、ホームワークとして取り組む課題を決めたり、またこの二つについての充実感の評価も行います。
☆症状の改善から終結に向けて・・・このような経過で改善していきますが、クライエントには具体的に改善結果を伝えていきます。そうすることで自分の良くなっている部分を実感できるからです。
最終段階ではこれまでの経過を振り返り、やり切れなかったことや今後出会うであろう問題についても話し合います。クライエントにとっては不安を感じるでしょうが、それこそがクライエント自身の極端な認知が関係していることが多いので、フォローアップが大切となります。
自分の考え方を変えるのはとても大変なことで時間がかかります。先ずは「認知の歪み」に気付くことから焦らずゆっくり取り組むべきなのね!